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ロックの殿堂。ファレル・ウイリアムズによるナイル・ロジャースへの敬意に満ちたトリビュート・スピーチ


「2017年4月7日、ニューヨーク・ブルックリンのバークレイズセンターにて」


Pharrellウィリアムズ : およそ5年前、僕は、一緒に曲をレコーディングする打ち合わせのために2体のロボット、ダフト・パンクと会う機会がありました。 彼らは僕が何の仕事をしているかについて尋ねて来たのですが、僕はその時「ナイル・ロジャース的なカンジのことさ」と答えたのです。僕はその時彼らが一瞬しゃべるのをやめて互いを見やっていたのを覚えています。「まさにそれだよ、君に書いて欲しいと思っていた音楽は」そして彼らは「ゲット・ラッキー」の元になる曲のデモを聴かせてくれました。そしてその後、その曲にナイルとナイルが信頼を寄せるストラトキャスター・ギター「ヒット・メイカー(ナイルが名づけた)」が、特徴的でリズミカルなリフを加えたのです。

僕は「ゲット・ラッキー」をはじめて聴いた時のことを未だに覚えています。その曲は僕にどこか別の惑星でのエキゾチックなパーティを連想させました。まるで音楽の麻薬のようでした。その曲は、地球を抜け出してどこか宇宙や異次元を旅したいと言う全ての人のためのアドレナリン注射でした。その曲は自由そのものでした。活力に満ち溢れていて、一体感のある曲でもありました。過去の時代を象徴するような曲であり、そして今現在そのものでもあったのです。

実際に僕がナイルと仕事をしたのはこの時が初めてでしたが、魂の次元で言えば僕とナイルは25年以上もの間、スタジオに一緒にいたも同然なのです。

ナイルの象徴でもある彼のバンド、シックであろうと、或いはマドンナ、デビッド・ボウイ、デュランデュランそして数えきれないアーティストとの作品であろうとも、ナイルは決して誰よりも前へ出て脚光を浴びるようなショー・マンである必要はありませんでした。彼のエトス(精神)は常にアーティストを優先してナイル自身はアーティストの裏方に徹して、スポットライトからは自ら身を引いていたのです。

だけど…。今夜はそうじゃないんだ、ナイル。

ナイルは僕に大きなものの一部になって物事に取り組む価値を教えてくれました。人間性の価値と謙遜さ、そして曲のために自分自身を犠牲にすることの価値というものを。

シックのファースト・シングルを聴けばすぐさまナイルのギター・カッティングを聴くことができます(ナイルが得意とする独特のギター奏法)。そしてその曲のタイトルによって、ナイルは40年間に渡って僕たちに指令を出し続けているのかもしれません。

つまり。「踊ろう、踊ろう、踊るんだ」と(シックのファースト・シングルのタイトルは「ダンス・ダンス・ダンス」)。

今夜、僕たちはこれまで40年以上もの間、「踊ろう」というマントラ(信念)に忠実でありつづけたあなたの栄誉を称えます。

ナイルはほとんどの曲のすべてのトラックで、同じギター(ヒットメイカー)を使って仕事をしていました。彼の音楽作品の価値(売上)は総額20億ドルという金額(価値)をもたらしました。20億ドルですよ。しかし僕は確信しています。世界中でナイル・ロジャースの曲で踊った事のある人の数の方が多いということを。

「おしゃれフリーク」をクラブで流しながらコンテストに勝ってみたり、「ウィー・アー・ファミリー」という曲が爆発的に流行っていた時に「私達は家族なんだよ」とハグしあったりした人がいました。「グッド・タイムス」がサンプリングされた曲を聴いて初めてヒップ・ホップに出会った人もいたでしょう。「まるでヴァージンみたいな気分(「ライク・ア・ヴァージン」)」になって「さぁ、踊りましょう(「レッツ・ダンス」)とか「僕たちの名をとどろかせよう!(「ノートリアス」)」などと言ってベッドルームで飛び踊っていた人もいました。「カミング・アウト(「アイム・カミング・アウト」)を聴いて自信や確信を感じていた人もいます。そして、「幸運を掴む(「ゲット・ラッキー」)」ために楽しい夜を過ごした人もいたのです。」

カール・セガーンはかつて言いました。「私達のような小さい生き物にとって、果てしなく広大なものは愛情でしか耐えうることは出来ない(「カール・セガーン著「悪霊にさいなまれる世界」より」。 愛、そうなんです。1970年代初期に彼がセサミ・ストリート・バンドでのロード・ツアーに出ていた時から今日まで、ナイルは人々をハッピーにして、音楽を通じて愛を表現することに彼の人生を捧げてきました。僕は、あなたの偉大さ、何世代をも感動させてくれたすばらしい才能の貢献について、本当にお礼を申し上げたいのです。

40年以上もの間、あなたは常に僕たちの間で最もクールな方なのです。そして、そのようなあなたを紹介出来て僕は光栄です... 僕たちは光栄に思っているのです。この部屋中の全員で、あなたのロックの殿堂入りを褒め称えて光栄に思っているのです。すみません、少し話が長過ぎました。とにかくあなたがしてきたことと言ったら!僕はナイルの偉業を簡単に読み上げる人がいるだろうか、ってチャレンジを今しているんですよ。だってあなたはあまりに多くのことをなし遂げて来ましたから。

おめでとうございます、ナイル。この賞はあなたのものです。


情報元:RollingStone

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